グリーンおじさん雑記帳

VRChatでの日々やVRまわりのことに関するメモなど。

PROJECT˸ SUMMER FLARE感想(ネタバレ有)

はじめに

2021年10月2日・3日の2日間をかけて、VRChat(以降 VRC)のワールドでありVRインスタレーションプロトコルである「PROJECT˸ SUMMER FLARE」(以降 PSF)を一巡し、その後も2回ほど一巡する機会がありました。

設定と解説が書かれた80ページ超の文書『サマーフレア作戦概略』も2021年末と昨夜(2022年5月3日)の2度通読して、何か感想らしきものを書けそうな気がするので今回初めてまとまった形での感想を書いてみたいと思います。深みのあるものは書けませんけど、こういうのは自分が後で見返すためでもあるので書けることを書いていきます*1。ネタバレには配慮しませんので、未プレイの方はまずPSFを一度最後までやってみてからこの先を読むことをお勧めします。

booth.pm

 

ワールド「PROJECT˸ SUMMER FLARE」の感想

2022年5月3日訪問時の写真

まずは「VRCのワールド作りでここまでできるんだ、すごい!」と思いました。ダイダン戦のインパクトは大きかったですね。もちろんそういう派手なところだけではなくて、小物の作りや静かな場所の音響に至るまで世界観というか価値観というかそういうものを感じられて好きでした。空気が好き、みたいな感じ。

ただ私の空間認識能力の欠如とかコントローラーが普段使いには良いけどアクションゲーム的な精度を求められるとガバガバ過ぎる状態とかが合わさって、余計なところでしんどさを感じてしまいました。2つあります。1つ目はダイダン戦、核攻撃からの脱出中、いずれも同じところをぐるぐる回ってしまって行くべきところに行くまでにとても時間がかかってしまった上にVR酔いが激しくなって1日目はそれで中断するしかなくなってしまったこと。2つ目は、ルーデンライト常温貯蔵槽のアスレチックパートで何度も水面に叩きつけられ腕の筋肉を酷使し、結局、自分自身の力では偽-デュランダルを取れなかったこと。フレンドと一緒に行ってなかったら詰んでましたが、そういう個人的経験ってそんなに悪くないかなと思ってるんで*2、「もう勘弁して」とは言いません。

ラウミタブレットでLuPI、FASとの会話を読み返すことができるのは良かったです。映画を見てるのとは違って、何かをしている時に急にLuPIやFASとの会話が始まることが多いので見逃してしまったり見ていてもすぐに言葉が意味として届かなかったりするんですが、後からゆっくり見返せるとわかると変に力まずに済むので。

全体的に「VRインスタレーションプロトコル」してて良かったです。「インスタレーション」って言葉の意味知らなくて「インタラクティブの仲間かな」くらいに思ってたんですが今日初めて調べて納得でした。

 

「PROJECT˸ SUMMER FLARE」のストーリーについて

厳しい現実に向き合う時、幸福な夢を見ながら苦しまずに死ねたらそれでいいじゃないかと思うことがあります。実際はそんなこと簡単にできないから今日もこうやって生きているわけですが、もしもその願いを願ったら叶ってしまう世界だったとしたら? 以下、言い切ってる部分もありますが私の勝手な解釈です。

21世紀よりもxR技術が遥かに発展した22世紀の世界において人類はサテライトリアリティ(以降 SR)の中に生きており、SRにおいて人類の願いは「(集団)狂気」という形で叶えられます。というか、多くの人が無意識にでも願うと叶ってしまいます。大災害に巻き込まれた子どもに生きていてほしいから絶対に折れない聖剣がそこに在ってほしいと望まれれば、それは在ることになります。核兵器のない平和な世界を多くの人が望めばそれは「失われた核」になります。人々にとって、実質的に*3。そして、地球規模の大災害であるブラックウィンター(以降 BW)で地球が寒冷化し、資源が不足し、全人類がサテライトデバイスに依存しなければ生きていけないほどの状況が長く続いた時、それに直面するよりは「最高の夏」の夢を見ながら死んでいけばいいと多くの人々が願った結果として「夏」という狂気が生まれました。

サマーフレア作戦とは安楽死用の夏という棺桶で眠りこけている人類の頬を引っ叩くような戦いなのだと思います。その戦いを戦うLuPIも狂気であり、夏から目覚めたいということもまた人類の切なる願いでした。絶対に折れない聖剣などなく、核兵器とそれを使った人間同士の戦争は存在し、寒くて衣食住に苦労する、そんな世界に相対する覚悟を持って。

どちらの選択肢が上か下かなどということはないけれど、人類はそちらを選んだ、そういう話だと理解しています。

 

『サマーフレア作戦概略』第9章 足枷を壊す を読んで

『サマーフレア作戦概略』、2021年末に最初読んだ時はいまいち腑に落ちない感じだったんですが、今回再読する余裕ができて、やっと私なりに腑に落ちてきたように思います。そもそもちゃんと読めてなさ過ぎました。私にとって初読なんてそんなもんで、2度3度と読み込むことでやっとまともに理解が進むのが普通だと思ってるのでよいのですが。

特にヨツミさんの思想とか人生観みたいなものが窺える「第9章 足枷を壊す」が好きで。私はたぶんどちらかといえば核兵器を使ってでも「夏」を守ろうとする人類の側*4だとは思っていて「前に進むこと」について恐らくヨツミさんとは異なる価値観の持ち主ではありますが、「衆愚」というものと向き合って対話を続けようとして「PROJECT˸ SUMMER FLARE」という作品を世に出したヨツミさんはすごいと思っています。そしてそれに敬意をもって応対するなら、冒頭に上げたようなツイートで済ますのではなく、結局陳腐な内容になるにしてもまとまった形で感想を書いておきたいと思いました。

でも、この作品をプレイしてくれた人がいつか自分が囚われている「最高の夏」を認識できた瞬間に、それを壊せるきっかけになる「呪い」としてこの作品が作用してほしいな、と願っています。

(『サマーフレア作戦概略』p.82)

本当に些細な話で恐縮ですが、実はPSF1回目やった時に既に「呪い」として私には効いていて、自分が主催しているイベントの会場ワールドの本格更新*5を2年間くらい怠っていて、ヒグラシの鳴く夕暮れでずっと続くその世界を「終わらない夏」と心の中で呼びつつ大きな不満も出ないしそのままでいいかなと放置してたんですが、そろそろこの小さな「最高の夏」から出ていこうかと思って久しぶりにUnityの新しい操作を覚えるなどしている今日この頃です。

「衆愚」についてもっと細かく語った方がいいかなと思いますが、そろそろお出かけの時間なので今日はこの辺で筆を置きます。

*1:考察ガチ勢の方にあれこれ突っ込み受ける前に一応書いておくw

*2:人生の歴史にまた1ページっていう感じで。

*3:Virtualという言葉の意味を思い出す。

*4:そのことに自覚的でありたいとは思っていて、その辺語ろうとすると脱線が激しくなりそうなのでここではこれ以上触れません。

*5:小物を置いたり、前回イベントの写真を追加したりくらいは毎回してますが。